ANAマイルのお得な使い道~世界一周特典航空券(スターアライアンス)のルールを考える【理論編】
2016/07/05
Cクラス特典航空券を発券。ANAマイルのお得な使い道を考えてみる!
先日,来年のGWにイスタンブールへのCクラス(ビジネス)特典航空券を発券したことを記事に書きました。
成田からイスタンブールへ飛んで,帰りは香港経由で帰国する高知(KCZ)/ 羽田(HND),成田(NRT)/ イスタンブール(IST)/ 香港(HKG)/ 羽田(HND)/ 高知(KCZ)という旅程。
これで95,000マイル。格安チケットもあったりするターキッシュエアラインズのCクラスでも,さすがにGWだと50万円くらい必要なチケットなので,マイル単価としてはそれなりに満足な管理人であります。何よりも,行きたかったイスタンブールにCクラスで飛べるというだけでご機嫌。
この記事を書いている途中,イスタンブールのアタテュルク国際空港やダッカのレストランでの痛ましいテロ発生の報に触れました。
犠牲になられた方に心から哀悼の意を表するとともに,こんな悲惨な事件が一刻も早く世界中から消え去ることを願って止みません。
さて,その時の記事でも少し触れたのですが,ANAマイルのお得な使い道の1つとして世界一周特典航空券というのがあって,今回色々とそのお得度について考えることがあったので,その考察を記事にしてみたいと思います。
スターアライアンス世界一周特典航空券
概要(ルール)
ANAのスターアライアンス世界一周特典航空券のルールの概要は次のとおり。
世界一周の旅程のみ、全旅程の距離(区間基本マイレージの合計。地上交通区間は移動マイルとして計算に含めません。)に応じて必要マイル数を算出します。太平洋、大西洋を1回ずつ飛行機を利用して横断する必要があります。ルートは東回り、あるいは西回りのどちらかで逆回りはできません。出発地と最終帰着地の間で最大8回の途中降機が可能です。(ただし欧州での途中降機は3回まで、日本国内での途中降機は4回までです。)また、出発国に戻る最後の国際線搭乗は、最初の国際線搭乗から10日目以降になります。
知らない人も結構多いんじゃないかと思いますが,ANAのホームページの提携航空会社特典航空券の利用条件の中に,ひっそりと上のような一文があります。本当にひっそりと。
世界一周旅程について書かれているのは,この一文と下に挙げた必要マイルのチャートだけというひっそり具合。
必要マイルは全旅程の距離に応じて計算される距離制
ANA国際線特典航空券と提携航空会社特典航空券がZONE制を採用する中,世界一周旅程だけは全旅程の距離に応じて必要マイルが計算される距離制となっています。
慣れない人にとっては距離のイメージが沸きにくいと思いますが,以下で順に利用条件(ルール)を読み解いていくのでよろしかったらお付き合いくださいね。
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世界一周の定義
まずはそもそも世界一周って何をもって世界一周って言うのかって話から。
世界一周って言うと,全ての大陸を回り何ヵ月もかけて何十ヵ国も旅するようなイメージがありますが,世界一周航空券(Round The World;RTW)での定義は至ってシンプルで,太平洋と大西洋を1回ずつ飛行機で横断し,東回りもしくは西回りの一定方向に基本的に逆回りせずに進み,出発国に戻ることを世界一周と言います。
例えば,東京からフランクフルトに飛んで,それからニューヨークを経由して東京に帰って来るようなルートでも世界一周になるという訳。
区間 | 出発地 | 到着地 | 区間マイル数(TPM) |
1 | 東京(TYO) | フランクフルト(FRA) | 5,928マイル |
2 | フランクフルト(FRA) | ニューヨーク(JFK) | 3,844マイル |
3 | ニューヨーク(JFK) | 東京(TYO) | 6,723マイル |
合計 | 16,495マイル |
このルートでの区間マイルの合計は16,495マイル。先ほどのチャートでは14,001~18,000の区分に該当し,必要マイルは
- Yクラスで 65,000マイル,
- Cクラスで 90,000マイル,
- Fクラスで160,000マイル
となります。どうでしょう?少しはイメージが沸いたでしょうか?
ファーストクラスだと世界一周旅程の方が必要マイルが少なくなる!
さらに世界一周旅程のお得さをご理解いただくために,
- ANA国際線特典航空券もしくは提携航空会社(スターアライアンス)特典航空券を使って東京=フランクフルト間を単純往復するのに必要なマイル数と,
- 東京⇒フランクフルト⇒ニューヨーク⇒東京と世界一周旅程で発券する場合に必要なマイル数
とを比較してみることにしますね。
クラス | ANA国際線特典 | スタアラ特典 | 世界一周特典 |
Y | 55,000マイル | 55,000マイル | 65,000マイル |
C | 90,000マイル | 90,000マイル | 105,000マイル |
F | 165,000マイル | 165,000マイル | 160,000マイル |
※ANA特典はRシーズンの場合
※スタアラ特典はZONE1-Bの場合
※ANA特典とスタアラ特典はTYO/FRA/TYO。世界一周はTYO/FRA/JFK/TYO。
ニューヨーク経由にして世界一周旅程にすると単純往復するよりもYクラスやCクラスでは必要マイルは増えますが,飛行距離を考えると許容範囲の増え方だと思うけどどうでしょう?
それにFクラスにすると,ニューヨーク回りで帰国する方がマイルが少なくて済むというから驚き!
これはお得ですよね!!
フライト回数の上限は12回。途中降機(ストップオーバー)は8回まで可能!
続いて気になるフライト回数の上限。
ホームページのどこを探しても見つからなったので,ANAの予約デスクに電話で確認したところ12回だと教えていただきました。とても懇切丁寧なご対応に感謝です。ありがとうございます!!
24時間以上の滞在となるストップオーバー(途中降機;S/O)は8回まで。うち欧州内でのS/Oは3回まで,日本でのS/Oは4回まで可能になってます。
同一都市でのS/Oが可能だということと,日本国内でのS/Oが4回まで可能というのが最大のポイントでしょうか。当然のことですが,日本で複数回S/Oするためには出発地を海外にする必要がありますので念のため。
トラフィック・カンファレンス内なら逆方向への移動もOK!
地味に大事なことなので,世界一周の定義をもう1度。
世界一周とは,太平洋と大西洋を1回ずつ飛行機で横断し,東回りもしくは西回りの一定方向に基本的に逆回りせずに進み,出発国に戻ること
一定方向に「基本的に」逆回りせずにの「基本的に」が肝です。
世界一周航空券は東回りもしくは西回りの一定方向が原則ですが,それはIATA(国際運送協会)のTraffic Conference Area(トラフィック・カンファレンス・エリア)間の移動についての話。
- TC1: 北アメリカ,中央アメリカ,南アメリカ,グリーンランド,カリブ海諸国,ハワイ諸島
- TC2: ヨーロッパ(ユーラシア大陸西部),アゾレス,アイスランド,中近東,アフリカ,セイシェル諸島
- TC3: アジア(ユーラシア大陸東部),オセアニア(オーストラリア,ニュージーランド,南太平洋諸島)
スターアライアンスの世界一周旅程では,TC間の移動はTC3⇨TC2⇨TC1⇨TC3といった具合に一定方向に移動することが求められているものの,TC内では移動の方向を変更することが可能です。
これと日本国内でのS/Oが4回まで可能という条件と併せると,可能性は無限に広がりますね。
必要旅行日数と有効期間
最後に必要旅行日数と有効期間。出発国に戻る最後の国際線搭乗は,最初の国際線搭乗から10日目以降必要とされているので,旅行日数は10日以上必要です。有効期間は旅行開始から1年間。
ANAマイルで行く世界一周ルートを妄想してみた!
利用条件を確認したところで,具体的なルートを一例。
KCZ/HND,NRT/○IST/○DBV/VIE/○PRG/FRA/○JFK/HND/KCZ(/○はS/Oを表します)。
イスタンブールから先,どの程度マイルを追加すればどのくらい飛べるのかという視点でルーティングしてみました。
区間 | 出発地 | 到着地 | 区間マイル数(TPM) |
1 | 高知(KCZ) | 東京(TYO) | 393マイル |
2 | 東京(TYO) | イスタンブール(IST) | 5,753マイル |
3 | イスタンブール(IST) | ドブロヴニク(DBV) | 564マイル |
4 | ドブロヴニク(DBV) | ウィーン(VIE) | 396マイル |
5 | ウィーン(VIE) | プラハ(PRG) | 173マイル |
6 | プラハ(PRG) | フランクフルト(FRA) | 256マイル |
7 | フランクフルト(FRA) | ニューヨーク(JFK) | 3,844マイル |
8 | ニューヨーク(JFK) | 東京(TYO) | 6,723マイル |
9 | 東京(TYO) | 高知(KCZ) | 393マイル |
合計 | 18,495マイル |
総区間マイルが18,495マイルなので,Cクラスなら115,000マイル,Fクラスなら180,000マイル。
世界一周特典航空券としてはすこぶる平凡なルーティングですが,個人的にヨーロッパで行ってみたい都市TOP2のドブロヴニクとプラハを訪れて,フランクフルト/ニューヨーク間はルフトハンザ(LH)の最新鋭機Boeing747-8iで飛ぶというだけで魅力的すぎる旅程。
イスタンブール往復に,わずか20,000マイル追加するだけでこんな旅程が組めるとはお得すぎると言うほかありませんね〜。

Maps generated by the Great Circle Mapper copyright © Karl L. Swartz.
ちなみにGreat Circle Mapperで行程を見るとこんな感じ。世界一周とか言いつつ,実際はほぼ正三角形に移動してるだけ。いかに普段世界地図を平面的に見てるかを思い知らされますwww
娘の教育上も地球儀買った方がいいかも!?
まとめ
以上,ANAのマイルで行くスターアライアンス世界一周特典航空券について読み解いてみましたが,いかがだったでしょう?
個人的には世界一周が意外と身近だな〜と感じたものの,そのルールが分かりづらかったので記事にまとめてみました。
S/Oを使い倒したり,別切りの航空券と組み合わしたりすることで,10日間という必要旅行日数をクリアすることもできそうだし,可能性は無限に広がりそうですが,娘がまだ小さい管理人の場合,当面その実現は難しそう。
いつか是非行ってみたい世界一周。いつか必ず実現させてみせます!!
なお,書きたいことはまだまだあるので,続編を乞うご期待ください。